平成12年度 共同政策研究(要旨)

自治体におけるCVMの導入について
   −あなたにとって環境の価値はいくらですか−

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CVMとは
 
今日の環境問題は、廃棄物やダイオキシン問題、大気・水質の汚染、地球規模の気候変動に至るまで多岐にわたる。その多くは私たちの日常生活や経済活動に起因するものであり、環境問題の解決には、住民や企業等が自らの生活様式や開発行為を見直し、環境保全の取組を推進していくことが求められる。
しかしながら、環境には価格等が存在せず、環境が破壊されたとしても損害額等が表面化しないため、その価値を認識することが難しい。このため、環境価値を測定する様々な手法が開発されている。そのひとつであるCVMとは、環境を守るためにいくら支払うかを人々にアンケートでたずね、その回答をもとに環境の価値を金額で評価する手法である。CVMは、環境の価値を金額で評価できることに加え、アンケートを通じた住民への啓発的効果も期待することができる。


CVMの実施に向けて
 CVMの実施に向けて解決すべき課題を整理するために、研究チームでは、県西部地域を流れる新河岸川流域の環境価値について、志木市民を対象としたアンケート調査を実施し、自治体がCVMを実施する際の手順や留意すべき点をまとめた。
 アンケート調査を実施する場合、設問の内容や質問方法によっては回答者の評価に影響(バイアス)を与えることがあり、評価額の信頼性を高めるためには様々なバイアスを排除しなくてはならない。また、調査の際に提示する環境政策等を、住民に正しく理解してもらうための工夫(シナリオづくり)も重要である。
 このほか、アンケートの対象範囲の選定、一定量のサンプル数の確保など、評価の信頼性を高める上で配慮しなくてはならない点を整理した。


さまざまな分野へのCVMの導入・活用
 
住民が求める環境がどのようなものかを知る手がかりとして、また開発と環境保全のあり方を検討する際の判断材料として、CVMに期待されるものは大きい。
 さらに、環境分野のみならず、他の行政分野にもCVMの導入効果は期待できる。川崎市では救急サービス等の行政サービスの価値にかかるCVM調査を実施しているが、この事例では、@CVM調査結果を政策の優先順位の判断材料に活用していること、A他の評価手法(ベンチマーキング等)とあわせて、CVMを総合的な政策評価システムの中に位置付けていること、B住民の回答負担軽減、調査のスリム化・コンパクト化に配慮していることが評価できる。今後、住民自治の発展に向けてCVMの果たす役割は未知数であるが、各自治体における職員の意欲的取組と住民の政治的習熟がCVM活用方法の多様化と精度向上に結びつくことを期待している。


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