平成15年度 共同政策研究(要旨)

報告書表紙

報告書を希望される方はこちら

      「Let's 合意 together!!―公共事業における住民合意形成の達人を目指せ!―」

 公共事業を担当する自治体職員は、日頃から「住民合意」の難しさに直面している。

 そこで、@住民との信頼関係の構築を目指して、住民の視点に立った合意形成のあり方について調査・研究を行うとともに、より良い合意形成のヒントを探り、合意形成の考え方や具体的手法等を提言する、A担当職員が日常業務に活用できる「手引き」となるような研究報告書を作成する、の2点を研究目的として、迷惑施設の代表格と思われる廃棄物処理施設建設事例を中心に研究を行うこととした。

 第2章の住民及び行政に対して行ったアンケート調査の結果により、事業実施過程における各手続き等(情報公開、住民参画、住民説明会、リスクの説明、合意の状況)に、住民と行政との間に認識のギャップが存在し、さらに行政側も事業進行における理想と現実のギャップを感じていることが明らかになった。

 また、第3章の事例研究では、このギャップを埋めるために様々な方策を試みた先進的な事例を取り上げた。県内3事例(彩の国資源循環工場、所沢市東部クリーンセンター、川口市朝日環境センター)及び県外3事例(長野県の中信地区・廃棄物処理施設、北九州市におけるPCB処理事業、柏市第二清掃工場)の合わせて6事例について、比較分析を行うとともに、各事例の特徴的な取組みを抽出した。

 そして、これらの結果から、住民の望む公共事業の進め方とは何かとの視点で、次の6つの課題を抽出した。@もっと早く情報が知りたい・包み隠さず教えて欲しい、A構想段階から住民を参加させて欲しい・施設稼働後も継続的に情報提供して欲しい、Bもっと早い段階から話し合いをしたい、Cもっと意見を反映して欲しい、Dもっとわかりやすく説明して欲しい・もっとわかりやすい資料が欲しい、Eリスク(環境・健康・生活への影響、災害時の対策)に関する情報が欲しい。そして、これらの課題を解決するため、次の6つの政策を提言している。

【提言1】情報公開の推進
・情報公開は透明性の高い手法によって行う
・情報公開はわかりやすさに配慮して行う

【提言2】より早い段階からの住民参画
 住民は構想段階からの参画を望んでいるが、現実には情報提供すら行われていない場合が多い。構想段階からの住民参画が必要な理由としては、@構想段階はその事業を行う必要性があるか否かを確認する段階であること、A構想段階からの住民参画は、結果的に円滑に事業を進めることに寄与する、B構想段階からの住民参画は合意形成の質を高めると考えるからである。

【提言3】住民説明会の進め方
・わかりやすい資料を作る
 この他、説明会には首長をはじめ全庁的な協力体制で臨むことや、住民が知りたい情報について重点的に説明することなどを提言としている。

【提言4】合意形成における担当者の心構え
 「なぜ住民が反対するのか?」など、その都度、真に住民の立場になって考えなければ住民の理解は得られないことや、住民からの要望を待つのではなく、要望等をあらかじめ把握した上で先回りして対応策を考えることなどの必要性を述べている。また、根強い行政不信が合意形成の障害の一つになっており日頃からの信頼関係の構築が重要であるとしている。

【提言5】リスクコミュニケーションの推進
 廃棄物処理施設は「迷惑施設」と言われるが、その迷惑たる由縁は、排出ガスによる汚染などのリスクがあるからに他ならない。このリスクをどのように説明するかについて、リスクコミュニケーションの考え方を取り入れた提言を行っている。
・リスク説明の必要性を認識する
・リスクに対する共通の認識を持つ

【提言6】ファシリテーターの活用
 ファシリテーター(facilitator;促進者)とは、会議等を円滑に進行させるための調整役のことで、中立的な立場で会議等のプロセス管理を行う者のことである。参加者の意見をうまく引き出し、会議等を成功に導くことに精進し、議論そのものには執着しない。今回行った調査からは、日本の公共事業においてファシリテーターが活用されている事例はなかったが、このファシリテーターを、行政と住民が合意形成を図る場面にも導入することを提言している。ファシリテーター導入の効果としては、@自治体=説明者、住民=説明の受け手という図式が崩れ、議論がしやすくなり共通認識の醸成を促進する、A中立的な第三者の調整により住民の不信感がなくなる(減る)、などが予想される。


目  次

第1章 研究の背景と目的

1−1 研究の背景

1−2 研究の目的

1−3 研究の方法・構成

 

第2章 公共事業における合意形成の現状

2−1 公共事業の進め方における問題

 2−2 アンケート結果から見る合意形成の現状

2−3 合意形成の現状に対する考察

 

第3章 合意形成の事例研究

3−1 事例の選定について

3−2 事例の紹介及び分析

【事例研究1】彩の国資源循環工場(埼玉県)

【事例研究2】所沢市東部クリーンセンター

【事例研究3】朝日環境センター(川口市)

【事例研究4】中信地区・廃棄物処理施設(長野県)

【事例研究5】北九州市におけるPCB処理事業

【事例研究6】柏市第二清掃工場

3−3 各事例の合意形成の特徴等

☆☆☆ コラム ☆☆☆

「PI(パブリック・インボルブメント)」

「PRTR制度」

「現代の焼却方式について」

「戦略的環境アセスメント」

「リスクコミュニケーション」

「環境先進国ドイツの環境教育」

  

第4章 理想的な合意形成を目指して

4−1 合意形成の課題

4−2 住民の視点に立った合意形成のあり方(提言)

【提言1】情報公開の推進

【提言2】より早い段階からの住民参画

【提言3】住民説明会の進め方

【提言4】合意形成における担当者の心構え

【提言5】リスクコミュニケーションの推進

【提言6】ファシリテーターの活用

【提言7】理想的な合意形成の手順

 

第5章 終わりに

5−1 本研究の結論

5−2 今後の課題

参考資料

用語集

主要参考文献等



政策研究のページに戻る