平成12年度 共同政策研究(要旨)

あなたのまちにPFIを
  −公共事業の新しい鍵−


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(1)PFIとは何か
PFIとは
 
地方財政の悪化等を背景に、全国の地方自治体では行政運営を改善する様々な手法の導入が進んでいる。そのひとつであるPFIとは、イギリスで生まれた公共事業改革の新手法であり、「公共施設等の設計、建設、維持管理及び運営に民間の資金やノウハウ等を活用し、公共サービスの提供を民間主導で行う手法」のことである。

PFI導入によって変わる行政の役割
 
PFIの導入により、社会資本整備や公共サービスの提供等は民間部門が主体的に担うようになり、公共部門の機能はサービス等の企画、評価といった「かじ取り」に特化される。市場感覚に富む民間事業者の創意工夫により、公共サービスの効率化や質の向上が期待される一方、公共部門には、住民の視点に立ち、サービスの質を厳しく評価するという新たな役割が求められる。このように、PFIとは事業の効率化により財政負担を軽減するだけでなく、官民の役割や責任分担を根本的に見直し、行政のあり方を大きく転換させる「鍵」となりうる手法なのである。
 日本では、ともすれば景気対策や公共事業の新たな財源確保策としてのPFIに期待を寄せる傾向があるが、PFIの本質を正しく理解し、その理念を活かした導入を図らなければ、第3セクター破綻の轍を踏むことになりかねない。


NPM理論を通じてPFIを正しく理解する
 NPM(New Public Management)理論とは、「成果志向」「顧客志向」といった民間企業における経営理念・手法を行政に導入し、行政運営の効率化・活性化をめざす考え方であり、PFIの理論的基礎となっている。NPM理論を踏まえると、PFIの導入にあたり、事業効率化によるコスト削減だけではなく、「顧客」である住民により多くの利益をもたらし、満足度を向上させることも同様に重要であることが理解できる。

(2)PFIに対する県内市町村の意識
 平成12年10月に、公共事業やPFIに対する意識等について県内92市町村にアンケート調査を実施した。現在の公共事業のあり方や手法について疑問をもつ意見は多いが(84%)、「公共事業には効率性を求められない」とする意見もある。また、民間の多様なノウハウを活用することで公共事業が活性化すると考えている。
 PFIについては、約8割の市町村で「関心がある」と回答しているが、「取り組む予定はない」とする地方自治体も3割あり、関心と取組の意識は必ずしも一致しない。PFIを「実施している」市町村はなく、「実施の予定がある」が2市、「検討中である」が9市町であった。実施予定又は検討中である事業としては、道路、下水道、教育文化施設等のハード事業が中心で、初期投資費用は10億円以上50億円未満が多い。PFI事業を立ち上げたいとするものから事業契約目前の自治体まで、その進捗は様々であり、研究会を設置したり、市民の参加を試みる市町村もあった。


(3) 住民に身近なPFI
身近な公共サービスにPFIを
 NPM理論の重要な理念である「顧客志向」を具現化するためには、住民に密着した公共サービス、なかでも市町村のサービス分野において、積極的にPFIを導入することが必要ではないだろうか。なぜなら、住民に身近な公共サービス分野では、PFI導入に伴うサービスの質的変化や、それに対する住民の満足度の変化等を把握しやすく、コスト面以外のPFIの導入効果を認識しやすいと考えられるからである。

住民に身近なPFIの導入が進まない理由
 地方自治体がPFI導入を検討する際、事業規模が小さいこと(事業規模が小さいとコスト縮減額が小さく、経済的メリットを得にくいため)がネックになると考えられている。このため、研究チームでは、小規模事業でも経済的メリットを生み出せる支援体制づくり(アドバイザー費用補助や人材派遣事業)を提案した。

手軽にPFI
 研究チームでは、PFI導入の障壁である「手続の複雑さ」をなくすため、リスク移転を少なくし、ファイナンスを単純化すること(従来型の資金調達を活用)により、契約や手続を簡略化した「手軽なPFI」を提案する。
 また、従来手法に比べ、コスト縮減、競争性、透明性の面で優れる「デザインビルド・オペレート」(設計・建設・運営を民間事業者が一括して実施する事業手法。建設費等を公共部門が負担し、所有権を取得する点が、一般的なPFIと異なる。)というPFI的手法から、まず取り組みはじめるという方法も考えられる。
 いずれも完全なPFIとはいえないとしても、経験の乏しい自治体が、複雑なスキームを持つPFI事業にいきなり挑むより、どのような形であれPFI的要素を用いた事業を行うことで、契約に必要な知識やコスト意識などを職員が身につけ、その資質を向上させていくこととなり、自治体の財産となることは間違いない。


あなたのまちにPFIを
 PFIは、まだ生まれたばかりの制度であり、今後、その成果が検証されていくことになる。どのような形態で導入するとしても、大切なのは「公共事業の成果を市民のもとに還元していく」ということである。多くの自治体がPFIを経験し、その経験を他の事業にも活かしながら、住民本位の公共事業改革が進むことを期待したい。

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