平成13年度 共同政策研究(要旨)

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      「隠れたコストを明らかに −財政危機時代のコスト分析手法について−」

 出口の見えない景気低迷により税収の増加は見込めず、少子化・高齢化の進展や住民ニーズの多様化に伴い、行政需要はますます増大していく中、自治体の効率化・活性化が求められています。多くの自治体では、バランスシートや行政コスト計算書を作成して、公表する試みが進められ、また、行政評価が注目を集め、様々な形で行政評価の導入やその検討が始められています。このような状況のなかで、私たちは自治体経営におけるキーワードである「公会計」と「行政評価」について整理しながら、「コスト」に注目して、研究を進めてきました。その成果をまとめたものがこの報告書です。報告書は3部構成で、内容は次のとおりです。

第1部 財務諸表
 
第1部では、企業会計的手法を取り入れて、自治体の財政状況を分析します。
 ◎…公会計の特徴
  自治体の会計制度は現金主義と言われるものですが、企業会計における発生主義との違いをみることで、その特徴を明らかにします。
 ◎…企業会計的手法の導入
  企業会計的手法を導入することで、自治体が行政サービスのために提供可能な資産をどのくらい保有しているか、その見返りとして将来世代の負担となる債務をどのくらい負っているのか、またいくらのコストが発生しているのかを住民にわかりやすく説明することができます。
 ◎…早わかり財務諸表
  バランスシートは、企業会計でいう「貸借対照表」にあたるもので、ある一定の時点における自治体の財政状況を一覧表にしたものです。また、行政コスト計算書は、企業会計でいう「損益計算書」にあたるもので、自治体が1年間に提供したサービスに要したコストと、税金や手数料などの収入を明らかにした計算書です。それぞれの財務諸表の見方やそれを活用した財務分析の事例を紹介します。
 ◎…これからの企業会計手法とは
  これからの自治体において、「最小の経費で最大の効果をあげる」には、単に企業会計的手法を導入して財務諸表を作成するだけでは目的を達成できません。行政サービスを提供する際に、どれだけの資源を投入し、どれだけの効果をもたらしたかを重視し、それを把握してこそ、効率的な行政運営が可能となります。


第2部 行政評価とコスト分析
 
第2部では、自治体へのアンケート結果を踏まえ、行政評価におけるコスト分析のとらえ方を説明します。
 ◎…行政評価
  現在自治体は、財源の有効活用と効率的・効果的な行政サービスの提供を求められています。行政評価は、経済性・効率性・有効性などの視点で政策・施策・事業を評価し、改善につなげていくための有効な道具となります。また同時に住民への説明責任(アカウンタビリティ)の向上にも寄与します。
 ◎…コスト分析
  コスト分析の意義は、事業費以外の人権費、減価償却費などを含めたフルコストを計算し、その事業にかかる正確なコストを把握することで、事業の見直しにつなげることです。
 ◎…行政評価とコスト分析との連携
  コスト分析により可能な限り数値化した指標は、質の高い行政評価を可能にします。さらに、行政評価とコスト分析の連携は、住民の行政参画にも寄与します。

第3部 ABC分析
 第3部では、行政におけるコストを把握)する1つの手法(コスト分析法)としてABC分析について紹介します。
 ◎…ABC分析とは
  ABC分析とは、対象とする業務を活動単位に細かく分類し、活動ごとのコストを算出し、業務の改善につなげていく手法のことです。従来、行政サービスにかかる費用を算定するときは、人件費、消耗品費、工事請負費等の 性質別に分類していました。ABC分析では、例えば図書館でのサービスを、開館準備、貸出、予約、図書管理と いうように活動別に分類し、活動別にコストを算出します。
 ◎…ABC分析の効果
  ABC分析を導入することにより、次の効果が期待されます。
  @ 各サービスや作業が客観的な数値で把握できます。
  A 仕事の流れやサービスの提供対象を把握することにより、
   作業工程における問題点を明確にすることができます。
  B 事務事業評価、その後の判断の基礎資料として活用できます。
 ◎…ケーススタディ
  普段私たちが携わっている@予算編成事務、A職員研修事業、B国民年金事務の3つのABC分析を行いました。この事例をご覧いただき、誰もがABC分析を実践する契機となれば幸いです。

 この報告書を活用することによって、今まであまり意識されなかった「隠れたコストを明らかに」し、読者の皆さんの「コスト感覚」を養う手助けとなることを願っています。
 ぜひ御一読ください。


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