平成20年度行政課題研究

「地域学の可能性」

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  現在、国内各地においては、「江戸東京学」、「山形学」、「秩父学」といった地域名を冠した「学」があり、地域学と呼ばれている。
 この「学」たる地域学は学問なのか。単なる学問にとどまらない可能性を持つものであろう。

地域学は、特定の地域を対象とし、その歴史や地理、経済、文化などを総合的、学際的に追求する地域研究を主流として取り組まれてきたとされている。

その一方で、地域に関わる住民や大学等が自らの地域に目を向けて、足元にあるあらゆる事象を調査研究、学習の対象として、実際にまちを歩きそこにあるものから何かを見いだそうという姿勢で取り組む地域学がみられるようになってきた。とりわけ、1990年代半ば以降、地域の自立化の要請や地方分権の進展、市町村合併、住民自治領域の拡大とともに、個性化を目指した自らの地域づくりの中に地域学を取り入れ、活用していこうとする動きが顕著となっている。近年では、より地域づくりを指向した「ご当地検定」、「エコツーリズム」、「エコミュージアム」など、地域学を方法論とする取組も活発になっており、多彩な形で地域学が広がりつつあるといえる。

現在、地域学は、地域住民、大学、企業、NPOそして行政のもとで、多くは市民大学などの生涯学習事業として、また、大学の地域貢献事業、地域の観光や産業の活性化のための人材育成としてなど、様々な形態で取り組まれている。

こうした様々な形態を持つ地域学を「地域学とは何か」と明確に定義付けることは、簡単なことではない。実際、対象とする「地域」も県や市町村の行政区域に限らず、より大きな「東北」といった区域、そして、より小さな集落等を区域とするもののほか、「地元」というその地に住む人々の生活圏域を捉えた区域を対象とする場合もみられている。さらにいえば、地域名も冠せずに地域を題材にした調査研究、学習を実施しているものも含めれば、その数は、優に千の単位に達するであろう。

 そこで、彩の国さいたま人づくり広域連合では、今年度の行政課題研究として、この地域学を取り上げ、地域学にはどのような可能性があるのかを探ることとした。

 この研究では、今日の地域を取り巻く情勢の中で、地域学に期待されるものは何かを明らかにすることに視点を置いている。

まず、第1章では、地域学とは何かを知るために、先行研究をもとに、各地への広がりの経緯や背景を明らかにするとともに、その分類について整理した。第2章では、各地の地域学が実際にどのように取り組まれているのかついて、ヒアリングや文献により調査し、その結果をまとめた。そして、第3章では各地の実際の地域学の特徴を分析し、地域学がもたらす成果と効果を4つの項目に整理した。また、第4章では、現在の埼玉県の各地域が置かれている状況の中で、県内の各地において地域学に取り組むことで、どのような地域の姿を描けるのかについて検討した。


「地域学の可能性」
目 次

はじめに 

 

第1章 地域学とは

 

1 地域学の登場 

 

2 地域学の多様性と柔軟性 

 

第2章 地域学の実際 

 

1 全国の地域学

 

2 地域学の具体事例 

第3章 地域学への期待 

 

1 地域学を取り巻く社会情勢 

 

2 地域学の特徴と成果・効果

 

3 地域学への期待 

 

第4章 埼玉における地域学へのいざない 

 

1 埼玉県の地域活性化に向けた地域学の成果・効果の素地 

 

2 地域学によって導かれる埼玉の姿 

 

主要参考文献等 

あとがき